厚生労働省の統計によると国内死亡者数114万人のうち、がんによる死は34万3千人と全体の30%を占め、ダントツの1位となっています。部位別に見ると、胃がん、肝がんは増勢が鈍りつつあるものの、肺や大腸、膵臓、乳がんはこの20年間でほぼ倍増となっています。
がんは、正常細胞の遺伝子が何らかのきっかけで傷ついてがん細胞となり、無秩序に増殖を始めることで発症します。原因としては、発がん物質やウイルス、生活習慣、遺伝など様々で未解明な部分が多くあります。
ただ、肝がんにおけるC型・B型肝炎ウイルス、子宮頸がんにおけるヒトパピローマウイルス(HPV)のように、ウイルスが主要な原因と判明したがんもあります。これらでは、抗ウイルス薬やワクチンによる、発ガンの予防法が具体化しています。
例えば、輸血や血液凝固因子製剤の投与による感染が社会問題化したC型肝炎ウイルスについては、ペグインターフェロンとリバビリン(抗ウイルス薬)の併用療法が一般化しています。
また、性交渉で感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)については、2009年にウイルスが日本で発売しています。日本産婦人科学会などは11〜14歳を中心とする女子への優先接種を奨励しています。
胃がんについても、40歳以上の日本人の多くが感染しているとされるピロリ菌との関連が強く疑われるようになってきました。胃潰瘍の根本療法であるピロリ除菌療法が、胃がんの予防でも注目されています。