若い女性に増加中!がんの予防・治療法

乳がんの早期発見には若い年齢から検診を受けましょう

看護師

乳房の中にある乳腺組織に発生したがん細胞が増殖する病気が「乳がん」です。乳腺には母乳を作る小葉と、小葉をつなぐ乳管で構成されていますが、乳がんの約90%は「乳管がん」で、5〜10%が「小葉がん」となっています。

乳がんは5mm〜1cm程度の大きさになると、多くの人が乳房やわきの下に触れたときにしこりのような違和感に気付きます。1cm程度の大きさになるまでには、がん組織が発生して約7年が経過していることが多いといわれています。

さらに乳がんはその広がり方によって、乳がん細胞が乳管の中にとどまっている早期の「非浸潤がん」と乳管の外にまでがん細胞が広がっている「浸潤がん」に大別されます。

非浸潤がんは自分でしこりに触れるほどがんが成長していない早期の段階ですが、マンモグラフィによる定期健診を受けていれば、しこりの前段階である石灰化の非浸潤がんを発見することができます。一方、浸潤がんの段階になると、増殖するがん細胞は乳房内のリンパ管や血管に入り込み、進行すると他の臓器に転移するリスクが高くなります。

検診を受ければ、たとえ乳がんがあったとしても早期発見・治療が可能です。国内でも著名人を起用した乳がんの啓蒙活動などにより、乳がん検診の受診率が徐々に高まってきました。その成果もあり実際に検診で発見された乳がんの約20%は、手術でほぼ完治が期待できる早期の非浸潤がんの段階で発見されています。

一般的には40歳以上の方は定期的に検診を受けることが推奨されています。家族や親戚に乳がんの発症歴がある方の場合は、それより若い年齢から検診を受けることが重要とされています。乳がんは他のがんと異なり、自分の手でしこりの違和感を早期の段階で感じることができます。

女性の病気等を解説した家庭用の書籍にセルフチェックの方法が解説されていますので、お風呂やベッドで月に1回は触診する習慣づけをしておくとよいでしょう。

医療機関で実施する検査

マンモグラフィは乳房を2枚の板の間に挟んで圧迫して撮影する乳房専用のX線検査で、とても小さい病変まで発見することができます。ただし、乳腺が発達している閉経前の女性には、超音波を使った検査のほうが有効とも言われており、超音波検査を併用することが一般の検診では多くなっています。

近年、注目されている遺伝性乳がんに関しては、BRCA遺伝子に変異がある30歳未満の人がマンモグラフィを行うと、X線を受けることで乳がんの発症率が上昇するという論文もあります。30歳以上の場合は発症率は変わりません。したがって、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の人には、若いうちのマンモグラフィは避けたほうがよいという考えもあります。

設備や費用、検査に時間がかかることから一般の乳がん検診でMRIを使用することはありませんが、病変の見落としが少ない優れた検査方法であることには違いありません。そこで、遺伝性乳がんのように、発症リスクが高い人の検診にはMRI検査を行うことが推奨されています。

ただ、乳房が欧米人ほど大きくない日本人の場合は超音波検査でも十分な精度があるのではないかと考える専門家もいます。


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